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かるの
各地で歴史講座を展開中。歴史を知る事で、人生や地域が豊かになる事を目指して。
フリーマガジン「道の駅」にも寄稿中。
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2009年12月07日

富野由悠季氏講演の現場を見に行く

 11月1日、三島市民文化会館において、国民文化祭の事業「新しい日本の文化」の中で富野由悠季氏の講演が行われました。

 他にも講演者((珍しいキノコ舞踊団主宰・伊藤千枝氏染色史家・吉岡幸雄氏)はおりましたが、ここでは、富野氏の講演内容に絞って聞き書きした内容を紹介します。
 しかし、現場では録音・撮影が禁じられていたため、あくまでも筆者の耳に頼った聞き書きであり全てを正確に表すことは出来ていない事をご了承ください。

富野由悠季氏講演の現場を見に行く
(画像は静岡新聞から)

 司会者 上利博規(静岡大学教授)
 ガンダムの基本的な世界観として、「重力に縛られた人」と「重力から解放されたい人」との対立の構造が見られますが、これは「伝統に縛られた人」と「伝統から解放されたい人」の対立というものがあります。
 これはヌーベルヴァーグの影響を感じる事が出来ると思いますが如何でしょうか。

 富野氏
 影響はないと思いますが、絶対的に無いということを感じているかどうかだと思います。
 日本が他の地域の人々と違うのは国境線が国土に無いことだと思います。他の地域の人々というのは否応なく自らのアイデンティティというものを定めなくてはなりません。それがあるかないかで人の一生が左右されるのです。日本にも地域差という物は多少はありますが、それを意識せずに発信する事が出来ます。このことは、そういった事が出来るパラダイスであるにも関わらず、それを意識していない無能な人々が多いという事です。(「無能な人々」を「無自覚な人々」に訂正)



 司会者
 90年以後の新しい日本の文化とはいかなるものでしょうか?

 富野氏
 テレビを使って作品を発表するのにおもちゃ屋さんの宣伝フィルムを売っているだけでいいのか、企業にも社会的責任があるだろう、任務があるだろう。

 女の子のファンが増えたのは喜ばしいです。ガンダムのファンというものが出てきたのは、ドラマを感じた小学生の女の子からだったんです。興行主というのは女を引っかけろというのです。
 文化というのものは女性らしい感覚が土台にあると思うのです。芸能というのは神様をお慰めする、というものです。様式化するのはその後です。
 アニメも芸能だと思っています。しかしアニメファンというものは単に絵が動くものだと思っている。大人もそうです。今、皆さんがアニメというものを今までの概念で捉えていたら、今の話は全く分からなくなります。
 絵で描かれた映画という物は記号としてインターナショナルなものだと思います。それが分かるのは世界で5人くらいだと思います。


 司会者
 パネリストの他の二名の方のものを見て感じる事などは如何でしょうか。

 富野氏
 安い物を買えばいいなどの効率化するのは決定権を持つ大人の言い分で、それが一番だと思い込んでいる訳ですが、20年もしないで中国に抜かれてしまいます。
 お二人の仕事ぶりを見ますと、吉岡先生の平安の物が一番いいと思った事があります。物を創る人間というのは最初の作を越えるものが創れないという事です。その後は大衆化、陳腐化すると言うのです。
 仏像の修理をする人に聞いた事があるのが、江戸の物は壊れにくい、という事があるのですが、それは嘘だと言います。修復とは100年超の仕事の始末をする訳ですから。その時には20年程度の事しか考えられなかったのではないかと思います。でもそれでいいと思います。せめて自分一代でも持てばと思います。
 アートとは工芸だと思います。百年残ったらアートになると思います。何を使って考えるかと言いますと、自分の様式を次の世代に伝えるために目指しているのではないかと思います。自分が未来に対して何かを指し示せるかです。後の人が真似して色々な派閥が出来ますが、創始者以外はすべて真似なんです。

 ダンスにも興味ありますが、ダンスによる表現は突き詰めれば内向的になっていく。ただ表しているだけなんです。表現とは何万、何千万という人々に向かってするものです。自分でアートなんて言っている人間はクズだと思います。
 身体性を追求しますとスポーツということになると思いますが、大会などで最高点を出したと言うのは、それは自己完結したと言う事で芸能とは違うんです。

 技術者の言葉が少ないのは実感します。講演などで理工系の大学へ行って話をする事が多くなって感じました。それは技術が高度化して個人でもできる事が少なくなり、出資者の顔色を見ながらでなければならないからです。

 小学生にも言うのですが、キーボードを打つ前に手を動かして何かを描く事が大事だと言っております。技巧とは自分の手の範囲に於けるものですから。行うほどに向上するからです。
 最後に技術者の方の話を紹介します。中国に真似をされても構わない。更に新たなモノを創っていくんだと。
 それにナントカ賞の選者にはもっと現場を見ろと言いたいですね。



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Posted by かるの at 08:16│Comments(0)受講日記
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