カムイスペースワークス代表・植松努氏の講演

かるの

2010年08月23日 08:17

 三島市商工会議所青年部が主催した
 『どうせ無理を世の中から一掃したい。人の持つ無限の可能性 大人が夢を持つ大切さ』
と題したカムイスペースワークス代表・植松努氏の講演を聴いてきました。

 カムイスペースワークスに関しては、北海道でロケット開発を行っているという事をテレビなどで見た事がありました。今回の講演はロケット開発の話を期待していきましたが、それ以上に含蓄ある話を聴けました。
 以下は講演内容の聴き書きから。

 実家は北海道芦別市で植松電機という炭鉱で使われるモーター修理業を行っていたが、炭鉱は閉山となり1970年代に自動車電装品の修理に転じた。しかしそれもアッセンブリ交換が主流になると仕事が無くなり、2000年になってからは産業廃棄物の除鉄に使うショベル用マグネットの開発に成功、多くのシェアを獲得した。
 ここから一生続く仕事は殆ど無い、仕事が無くなり暇になったら本を読み、常に仕事は作りださねばならない。

 これは祖母の言葉があった。樺太で商売を営んでいたが、ソ連の侵攻によって全てを失った。
 「金は下らん。一晩で価値は変わる。金があれば本を買って頭に入れろ。」
とよく言っていた。

 対案無き「我慢」は諦めである。本当の我慢は機会に備えておくことである。

 小学生の頃は、自分で造った潜水艦で世界を旅する事であった。
 紙飛行機作りに夢中になり、本屋で紙飛行機に関する本を買うと、飛行機に関する基本的な事は全てそこにあった。航空宇宙に関する仕事に就きたいと思っていると教師に思いっきり否定された。しかしそれは教師が飛行機の事を知らないからと気づく。
 憶測の進路評論に負けてはならない。

 飛行機の事はテストの点にならないから止めろと言われ続けていたが、大学に入ると全ての事がそれまで止めろと言われ続けてきたことであった。
 その結果、飛行機を丸ごと設計できる仕事に就いた。戦闘機、宇宙船、新幹線も設計した。しかしその仕事も、周りには飛行機を全く知らない人ばかりである事に嫌気がさし、辞めてしまった。

 ロケットを作るために必要な材料はホームセンターにも売っている。人工衛星に必要な電子部品はゲーム機の中に入っていた。
 宇宙開発は決して国家レベルの物ではない、工夫すれば良いのである。

 カムイ型ロケットは燃料にポリエチレンを使用。ポリエチレンはレジ袋の原料であったが、昨今のレジ袋の使用を控えるようになって来てから余り気味である事に着目した。元々燃えにくい物のなので燃焼には苦労したが、安定した出力を得られるので安全であり自宅のすぐ側でも実験できる。

 宇宙ごみを片付ける仕事にビジネスプランがある。

 国家主導の世界初は無い。全ては個人の好奇心による研究から始まる。
 
 子供にペーパークラフトを教えていると親の中には子供だましと言う人も居るが、ペーパークラフトは産業の基本である。自動車のプレスもファッションブランドの服も一枚の板なり布を如何に組むかであり、製図の基本にもなる。
 プラモデルを製作する事で、形を見比べて実物の設計意図などを読み取る事が出来る。
 
 言葉で人の可能性を奪うのは殺人に等しい。その言葉が「どうせ無理、自分には出来ない」などであり、こう言われ続けるとそれを他人にも行うようになる。
 失敗を許せないと失敗が選択肢に入らないため、希望的観測だけになってしまう。
 失敗はダメだったというデータの一部に過ぎない。

 住むコストを1割に。食うコストを半分に。学ぶコストを0に、という理想とした大学を設立。そこで得られるノウハウを発展途上国に提供したい。

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