旭化成講座 「私たちの生活を変える膜分離技術」② 6月6日
講師:旭化成 後藤久寿氏
※以下は聞き書きであり、全てを網羅している訳でなく、聞き間違いなどもある場合があります。ご了承ください。
高分子材料とは、分子量が数万~数百万もの物質で、ポリエチレン・アクリル・フッ素樹脂などである。濾過膜は多くが高分子材料から出来ている。
高分子材料にはポリサルホン(PSf)がよく使われる。耐熱性があり、医薬・半導体分野の濾過に使われる。溶液ととしてN-メチル-2-ピロドリン(NMP)を用いる。
濾過膜の作り方→①高分子材料と溶媒を混ぜ均一にする。②高分子材料が入った溶媒をガラス板に乗せ、コーターで引き伸ばす。③水に溶けない高分子材料が水中に漬かると一瞬で凝固して高分子材料膜が出来る。
これは水に触れたPSfからNMPが抜けて凝固するためである。
水に近い所は速く凝固し、水に触れるのが遅い所はゆっくり凝固するので、中空糸膜は菱型の穴が出来る。これを利用して分離の速度を変える事で用途に応じた穴径に出来る。
膜分離の未来としては、バッテリーセパレータ・水素分離膜・エタノール分離膜など。
血液製剤の製造時には病原性のウィルスを不活性化する必要がある。以前は加熱によって行われていたが、熱により蛋白質が変性してしまう恐れがあるので、現在は膜分離技術が主である。
しかし、製剤に必要とするグラブリンとウィルスは大きさが近いので高い精度が必要とされる。
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