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2010年03月23日
<三島風穴>埋め立て前に学術調査を 富士山周辺で最古級
三島風穴と今回の埋め立ての範囲

富士山の噴火でできた溶岩トンネルの中でも最古級で、静岡県三島市のJR三島駅北口の地下に広がる「三島風穴(ふうけつ)」が今月下旬にも埋めたてられる。工事を行う静岡県三島市によると、風穴の真上に市道を造るため、推定約3000平方メートルある空洞の半分をセメントなどで充てんし、地盤補強する。風穴に対する学術調査は実施されていないが、溶岩が生み出した貴重な鍾乳石などが残され、火山学の専門家から「工事前に学術調査すべきだ」との声が上がっている。
三島風穴は、噴火で流れ出た「三島溶岩流」の最南端にあたり、富士山周辺で100以上確認されている風穴の一つ。1万数千年前にでき、総延長は分かっているだけで約300メートル。1953年に発見され、86年に日本火山洞窟(どうくつ)協会(現・富士火山洞窟学研究会)が実地調査した。長年かけて形成された「溶岩鍾乳石」などがそのまま保存され、市街地に残る洞窟としても全国的に希少という。
かつては製薬会社の敷地内にあり、会社の移転に伴って05年、三島市函南町土地開発公社が公共用地として買収した。市によると、風穴の内部で崩落が確認されたため、道路工事に先立ち、今月内にもセメントと粘土質の資材で充てんする工事を始める。市建設部は「安全を期すのが第一の目的。手当てをしなければ風穴の真上にある既存の道路も崩落する恐れがある」と緊急性のある工事だと説明している。
一方、今年2月に風穴を調べたNPO法人「火山洞窟学会」(事務局・東京都)の立原弘会長は
「埋める前にきちんと全容を調べ、残すべきところは残してほしい。教育的な価値もある」
と指摘。山梨県環境科学研究所自然環境・富士山火山研究部の輿水達司部長も
「山梨県側の富士山北麓(ろく)では三次元解析など最新の手法を使って風穴を調査している。調査前に埋めるとは信じられない」
と話している。【安味伸一】
三島風穴を調査した火山洞窟学会による緊急報告はコチラ→http://vulcanocave.poc.jp/mishima20100206/
「鍾乳洞は人の一生以上の長い時間をかけて作られるものだから大切に。」
というのは洞窟に入る際に注意される最も基本的な事だ。どうやらそれは場所によって都合が変わるようである。
演劇で、山奥の村にある鍾乳洞のような穴に自殺に来た人と廃棄物処分場にする為に調査に来た役場の職員と未踏破の洞窟を一番に入りたいという探検家が鉢合わせして様々なドラマが展開される話があったが、なんとなくそれに近い話になって来た。
貴重な文化財が民間の所有になると何をされるかわからない、と言われるが、今回の件は民間企業が保持していた所が公有地になって破壊されてしまう。
「安全を期すため」
と言われると、「それじゃしょうがない」と思う人もいるかもしれないが、どこまで危険が迫っているのか、どう危険なのか、危険を回避するためにどんな手段が必要なのか、という事も全く提示されていない。
目の前で事故が起きて人の生命が危機に瀕しているという状況ではないだろう。他にどんな手段が取れるかという事を、考えた上で判断すべきだ。
六本木ヒルズは計画から20年以上を経て完成したが、15年以上を住民への説明に費やしたといわれる。
民間企業で出来るのに、更に負担が軽い自治体でなぜ長期的な視野が持てないのか。
短絡的に行政の仕事を批判するのは好きではないが、やるかやらないかという選択肢が極端な例が多すぎる。当事者となった人にはもっと情報や提案が欲しいのに、賛成か反対という選択肢しか残されないからイザコザになる。
行政としてはイザコザを避けたいがために計画通りに進めたいのだろうが、住民の意思を無視した計画の推進は結局、時間・資源・資金の無駄になるのではないか。
今回の件は住民運動などはないが、この工事が行われたら復元する事は不可能になる。一万年以上も昔からあった景観を、数十メートルの道路を通すだけのために破壊するのか。工事するにしても、もっとやるべき事はあるのではないか。全国的に貴重な自然景観である事はもっと三島市の方は知っておいた方が良い。

富士山の噴火でできた溶岩トンネルの中でも最古級で、静岡県三島市のJR三島駅北口の地下に広がる「三島風穴(ふうけつ)」が今月下旬にも埋めたてられる。工事を行う静岡県三島市によると、風穴の真上に市道を造るため、推定約3000平方メートルある空洞の半分をセメントなどで充てんし、地盤補強する。風穴に対する学術調査は実施されていないが、溶岩が生み出した貴重な鍾乳石などが残され、火山学の専門家から「工事前に学術調査すべきだ」との声が上がっている。
三島風穴は、噴火で流れ出た「三島溶岩流」の最南端にあたり、富士山周辺で100以上確認されている風穴の一つ。1万数千年前にでき、総延長は分かっているだけで約300メートル。1953年に発見され、86年に日本火山洞窟(どうくつ)協会(現・富士火山洞窟学研究会)が実地調査した。長年かけて形成された「溶岩鍾乳石」などがそのまま保存され、市街地に残る洞窟としても全国的に希少という。
かつては製薬会社の敷地内にあり、会社の移転に伴って05年、三島市函南町土地開発公社が公共用地として買収した。市によると、風穴の内部で崩落が確認されたため、道路工事に先立ち、今月内にもセメントと粘土質の資材で充てんする工事を始める。市建設部は「安全を期すのが第一の目的。手当てをしなければ風穴の真上にある既存の道路も崩落する恐れがある」と緊急性のある工事だと説明している。
一方、今年2月に風穴を調べたNPO法人「火山洞窟学会」(事務局・東京都)の立原弘会長は
「埋める前にきちんと全容を調べ、残すべきところは残してほしい。教育的な価値もある」
と指摘。山梨県環境科学研究所自然環境・富士山火山研究部の輿水達司部長も
「山梨県側の富士山北麓(ろく)では三次元解析など最新の手法を使って風穴を調査している。調査前に埋めるとは信じられない」
と話している。【安味伸一】
[ 2010年3月15日 (毎日新聞)
三島風穴を調査した火山洞窟学会による緊急報告はコチラ→http://vulcanocave.poc.jp/mishima20100206/
「鍾乳洞は人の一生以上の長い時間をかけて作られるものだから大切に。」
というのは洞窟に入る際に注意される最も基本的な事だ。どうやらそれは場所によって都合が変わるようである。
演劇で、山奥の村にある鍾乳洞のような穴に自殺に来た人と廃棄物処分場にする為に調査に来た役場の職員と未踏破の洞窟を一番に入りたいという探検家が鉢合わせして様々なドラマが展開される話があったが、なんとなくそれに近い話になって来た。
貴重な文化財が民間の所有になると何をされるかわからない、と言われるが、今回の件は民間企業が保持していた所が公有地になって破壊されてしまう。
「安全を期すため」
と言われると、「それじゃしょうがない」と思う人もいるかもしれないが、どこまで危険が迫っているのか、どう危険なのか、危険を回避するためにどんな手段が必要なのか、という事も全く提示されていない。
目の前で事故が起きて人の生命が危機に瀕しているという状況ではないだろう。他にどんな手段が取れるかという事を、考えた上で判断すべきだ。
六本木ヒルズは計画から20年以上を経て完成したが、15年以上を住民への説明に費やしたといわれる。
民間企業で出来るのに、更に負担が軽い自治体でなぜ長期的な視野が持てないのか。
短絡的に行政の仕事を批判するのは好きではないが、やるかやらないかという選択肢が極端な例が多すぎる。当事者となった人にはもっと情報や提案が欲しいのに、賛成か反対という選択肢しか残されないからイザコザになる。
行政としてはイザコザを避けたいがために計画通りに進めたいのだろうが、住民の意思を無視した計画の推進は結局、時間・資源・資金の無駄になるのではないか。
今回の件は住民運動などはないが、この工事が行われたら復元する事は不可能になる。一万年以上も昔からあった景観を、数十メートルの道路を通すだけのために破壊するのか。工事するにしても、もっとやるべき事はあるのではないか。全国的に貴重な自然景観である事はもっと三島市の方は知っておいた方が良い。
Posted by かるの at 08:17│Comments(6)
│気になる気になる気になる
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JR三島駅北口の三島風穴が埋立で揺れている。貴重な自然遺産として調査・保存を求める火山洞窟学会と、崩落事故回避を盾に早急な埋立を行いたい三島市がぶつかっている。
三島風穴埋立問題 なんかいろいろとおかしい【気になリズム】at 2010年03月23日 10:19
この記事へのコメント
>一万年以上も昔からあった景観を、数十メートルの道路を通すだけのために破壊するのか。
これはいろんな人に知ってもらいたいですねぇ。ということでトラバしました。
行政の怠慢というより、遺跡(?)の保護と富士山の歴史に対する犯罪に近いように思います。
これはいろんな人に知ってもらいたいですねぇ。ということでトラバしました。
行政の怠慢というより、遺跡(?)の保護と富士山の歴史に対する犯罪に近いように思います。
Posted by moka at 2010年03月23日 10:22
とても重要な情報ありがとうございました。
永年三島にいて知らなかったです。
お恥ずかしい…
早速、議員へ連絡しておきました。
知っていながら知らぬふりをして「北口」の開発をしてきた
市町の姿勢に問題あると思いませんか?
永年三島にいて知らなかったです。
お恥ずかしい…
早速、議員へ連絡しておきました。
知っていながら知らぬふりをして「北口」の開発をしてきた
市町の姿勢に問題あると思いませんか?
Posted by 有限会社ブレインチャイルド at 2010年03月23日 11:17
mokaさま
コメントありがとうございます。
この話題、ホントにアナウンスが無いですね。
小池市長が言う「市民との協働」は数年前から殆ど言葉だけですね。レームダックよりもタチが悪い。
ブレインチャイルドさま
コメントありがとうございます。
確か三島市には景観条例があったと思います。それは富士山が見えるかだけに適用がされているかのようですが、本来あった景観にも配慮がされるべきと思います。
コメントありがとうございます。
この話題、ホントにアナウンスが無いですね。
小池市長が言う「市民との協働」は数年前から殆ど言葉だけですね。レームダックよりもタチが悪い。
ブレインチャイルドさま
コメントありがとうございます。
確か三島市には景観条例があったと思います。それは富士山が見えるかだけに適用がされているかのようですが、本来あった景観にも配慮がされるべきと思います。
Posted by かるの
at 2010年03月24日 00:27

歴史の重みというのは人間が作ろうとして作れるものではないです。ですから京都・奈良などの古都に人間は魅力を感じるのだと思います。
ですからこういう歴史的な資産は重く見るべきだと思います。
それを抜きにしても、これは富士山関連の文化財。
富士山を有する静岡県の自治体がやることとは思えないです。
三島市は三嶋大社を尊重する気持ちがあると思いますし、それと同じような視点を持つ気持ちがあっていいと思います。
ですからこういう歴史的な資産は重く見るべきだと思います。
それを抜きにしても、これは富士山関連の文化財。
富士山を有する静岡県の自治体がやることとは思えないです。
三島市は三嶋大社を尊重する気持ちがあると思いますし、それと同じような視点を持つ気持ちがあっていいと思います。
Posted by 暁 at 2010年03月24日 02:14
北口に風穴があるなんて知らなかった。
どうやって降りるんだろう?
秘密の入り口があるんですかね。
危険なら通らなければいいし、
補強して、観光名所にならんかな?
どうやって降りるんだろう?
秘密の入り口があるんですかね。
危険なら通らなければいいし、
補強して、観光名所にならんかな?
Posted by 天然水太郎
at 2010年03月24日 08:49

暁さま
コメントありがとうございます。
文化財や自然景観は当地の人が如何に認識するに掛かっていると思います。やむなく壊してしまうにしても、その全容を調査し後世の人に伝える事は義務だと思います。
今回の件が残念なのは、5年前から危険性を認識しているにもかかわらず、それを市民に周知しないのと調査するなどの動きが全くない所です。新聞でも限られたところしか取り上げないですし。
天然水太郎さま
コメントありがとうございます。
自分も全く知りませんでした。
昔在った三共製薬が井戸を掘った時に発見されたそうです。その井戸を伝って入れるようです。
観光化はかなりの費用がかかると思いますが、全国的にも希少なので、観光化までは行かなくても保存して欲しいですね。
コメントありがとうございます。
文化財や自然景観は当地の人が如何に認識するに掛かっていると思います。やむなく壊してしまうにしても、その全容を調査し後世の人に伝える事は義務だと思います。
今回の件が残念なのは、5年前から危険性を認識しているにもかかわらず、それを市民に周知しないのと調査するなどの動きが全くない所です。新聞でも限られたところしか取り上げないですし。
天然水太郎さま
コメントありがとうございます。
自分も全く知りませんでした。
昔在った三共製薬が井戸を掘った時に発見されたそうです。その井戸を伝って入れるようです。
観光化はかなりの費用がかかると思いますが、全国的にも希少なので、観光化までは行かなくても保存して欲しいですね。
Posted by かるの
at 2010年03月25日 20:25
